PDAの話をしよう10 Visor DeluxeでPalm体験
PDA(パーソナルデジタルアシスタント)の話をしています。1990年代より使い始めたPDAは、オアシスポケット2、HP200LX、CASSIOPEIA A51、jornadaと順調にミニキーボード搭載端末を使っていました。そんなときに、Palmというペンデバイスによる手のひらサイズのPDAとの衝撃の出会いを前回紹介しました。
基本、キーボード端末が好みではあるもの、グラフィティという独特の一筆書き入力や、WindowsとMacの両方と同期ができる柔軟性に惹かれて、入手を考え始めました。ただ、当時は日本語版もなく、高価だったため、HP200LXや、Windows CEのようなエネルギーをかけて、Palmの世界に飛び込む勇気がなく、時間が過ぎていきました。
そんな中、朗報がきました。1999年に、Palmよりスピンオフしたハンドスプリングが、Palm OSを搭載した安価なデバイスを発売を発表したのです。Visorシリーズです。特に、Visor Deluxeは、当時流行していたiMacカラーによるカジュアルなスタイルで、さらに日本語版が発売されたのです。
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このVisor Deluxeにより、Palm生活が始まりました。Palmの世界はとても楽しいものでした。モジュールスロットの拡張性により、様々な周辺機器を導入して楽しみました。
Palmの良いところは何と言っても手軽なところでしょうか。ワンタッチで電源を入れて、グラフィティでメモして電源を切る。メモや予定表に、どんどん入力していきます。長文は、さすがに苦手ではありますが、ちょっとしたメモ書きとしては、当時、最速なデバイスでした。
Palmの良さはコミュニティにもありました。ユーザー同士が情報を交換しながら、How Toをまとめたサイトもあり、様々なソフトが開発され、ソフトとまとめたサイトも活況となり、ユーザーが広がっていました。あるユーザーがこんな使い方している、それじゃ自分もやってみよう、そんなカスタマイズだけで、時間を楽しく過ごすことができたのです。
ある意味、PDAとして完成形と思われていたPalmではありますが、時代がインターネットにシフトしていくと、暗雲が立ち込めます。元来、PCとの連携を目指して、単体で手軽に使えるのが売りだったPalmにインターネット機能が必要になってきました。さらに、動画や音楽など、マルチメディア系の機能のニーズも高くなってきました。Palm OSで対応できないことはないのですが、高機能なネット機能、ブラウザ機能、マルチメディア機能を搭載することには、ちょっと無理がありました。
そのネットへのニーズが高まる時代に、Palmに大きな転機がきます。ソニーによるPalm OSを搭載したCLIEシリーズです。VAIOシリーズで、ネットやマルチメディアに積極的なソニーがPalm OSを採用したのです。Palm OSが大きく変わる可能性が出てきました。CLIEに関しては、次回。